期付解約留保権付労働契約の解約権を行使できるのは、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認できるものに限られる。
採用内定者は現に就労していないが、当該契約に拘束されていて他に就職できないのだから、企業が経営の悪化等を理由に留保した解約権を行使する場合には、いわゆる整理解雇の有効性の判断に関する四要素を総合考慮のうえ、解約留保権の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認することができるかどうかを判断すべき。
Yは、人員削減の必要性が高く、従業員に希望退職等を募る一方、Xら採用内定者に相応の補償を提示し入社辞退を勧告するとともに、Xには入社を前提に職種の変更を打診したなど、採用内定の取消を回避するために相当の努力を尽くしており、内定を取り消したことには、客観的に合理的な理由がある。
内定を取り消す前後のYの対応には誠実性に欠けるところがあること、採用内定に至る経緯や内定取消によってXが著しい不利益を被っていることを考慮すると、内定取消は社会通念に照らし相当と是認することはできない。
引用/厚生労働省サイト