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就職差別で賠償問題に

「就職差別」とは

「就職差別」とは、採用や労働条件の面で、個人の性別、年齢、障がい、出身地、学歴、人種、宗教などの属性に基づいて差別を受けることを指します。

労働者に対する差別は人権侵害であり、法的にも問題視されます。生活の安定や社会参加、生きがい等、人生において非常に重要な意義を持つ「就職」において、職業選択の自由は基本的人権の一つとされています。

採用基準や採否の決定は、雇用主の採用の自由が認められている一方で、応募者の基本的人権を侵害することはできません。労働者の採用選考にあたっては、人間尊重の精神に則り、応募者の基本的人権を尊重することが大切です。

2021年度におけるハローワークの調査によると、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」という指摘がありましたが、「家族に関すること」の質問が約半数を占めているようです。本人に責任のない事項について質問することは、就職差別につながることがあるため、注意が必要です。

就職において差別されたことで負った精神的な苦痛については、慰謝料を請求されることもあります。

引用/厚生労働省サイト

 

面接時に不適切な質問の例

1.本籍に関する質問

本籍を聞くことは、結果的に就職差別を引き起こす恐れがあります。同和関係者や在日韓国・朝鮮人を排除する公正な採用選考から外れてしまう可能性があるためです。

・あなたの本籍地はどこですか。

・あなたのご両親の出身地はどこですか。

・今まで生まれた場所以外に、住んでいた場所はどこですか。

 

2.住居とその環境に関する質問

・あなたの住んでいる地域は、どのような環境ですか。

・あなたのおうちは、どのような交通アクセスが便利ですか。

・あなたの自宅の周辺には、どのような施設や店舗がありますか。

・あなたの自宅の周辺で、特に印象に残る場所はありますか。

 

3.家族構成や家族の職業・地位・収入に関する質問

・あなたのお父さんの勤務先や役職は何ですか。

・あなたの家の事業内容は何ですか。

・あなたの家族の職業について教えてください。

・あなたの家族の収入についてはどうですか。

・あなたの両親は共働きですか。

・あなたの学費は誰が支払いましたか。

・あなたの家庭の雰囲気について教えてください。

・過去に転校の経験がありますか。

・お父さん(お母さん)がいない理由について教えてください。

・お父さん(お母さん)は病死したのですか。死因(病名)についてはどうですか。

・お父さんが義父となっているとのことですが、詳しく話してください。

 

4.資産に関する質問

・あなたが住んでいる住宅は、一軒家ですか?借家ですか?

・所有している不動産はありますか?

 

5.思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問

・自分の信条としている言葉はありますか。

・あなたの家庭の宗教は何ですか。

・あなたの家庭はどの政党を支持していますか。

・労働組合についてどう思いますか。

・政治や政党に関心はありますか。

・尊敬する人物を教えてください。

・自分の生き方についてどう考えていますか。

・現代社会についてどう思いますか。

・将来、どのような人物になりたいと思いますか。

・好んで読む本はありますか。

・あなたの家で読まれる新聞は何ですか。

 

6.男女雇用機会均等法に抵触する質問

・結婚や出産後も、社会人として働き続ける予定はありますか。

・当社は女性(または男性)の採用に消極的であるため、労働時間が短くなる可能性があります。それでも入社を希望されますか。

・(男性だけに、または女性だけに)残業や転勤が発生することがありますが、問題ないでしょうか。

 

引用/厚生労働省サイト

 

公正な採用選考

厚生労働省では公正な採用選考のために下記の2点の考え方を示しています。

 

・応募者に広く門戸を開く

限られた人にしか門戸が開かれていないようだと、就職の機会均等を実現することはできません。求人条件に合致する全ての人が応募できるようにする配慮が大切です。

同和関係者、難病のある人、LGBT等の性的マイノリティなどの特定の人を除外せず、求人条件に合致するすべての人が応募できるように配慮します。

 

・本人のもつ適性・能力に基づいた基準による選考

応募してきた人が求人職種の職務を遂行するにあたり、必要となる適性や能力をもっているかどうかということを基準にして採用選考を行います。

 

 

 

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