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安全配慮義務とは

安全配慮義務とは

安全配慮義務は、企業・事業主に対して、労働者の安全と健康を確保するための義務を課す法的責任です。これは、労働者が職場で安全に仕事をすることができるように、事業主が適切な対策を講じることを求めています。つまり、職務に関する危険性を予測し、予防的な対策を講じたり、必要な情報を提供したり、指導・監督したりすることが求められます。

例えば、危険な作業を行う場合には、労働者に安全な作業方法を指導するとともに、適切な安全装置や保護具を提供する必要があります。また、化学物質を扱う場合には、適切な換気設備を整備したり、危険な化学物質に対する情報提供を行うことが必要です。

 

■労働契約法第5条

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

 

■労働安全衛生法第3条第1項

「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」

 

安全配慮義務の対象者の範囲

安全配慮義務は、自社の従業員だけでなく、下請け企業や派遣社員などの労働者も対象となります。また、海外勤務中の従業員に対しても対象になります。これらは、事業主が、従業員の健康や安全を守ることが求められる義務であり、違反すると損害賠償や罰則の対象となります。安全配慮義務には、職場の危険予防、安全教育の徹底、適切な労働環境の提供などが含まれます。

 

安全配慮義務違反の罰則

安全配慮義務違反があった場合、労働契約法による罰則は定められていません。しかしながら、安全配慮義務を怠ったことによって、従業員が事故や疾病、過労死、自殺などの労働災害に至った場合、民法に基づく損害賠償請求が発生することがあります。この場合、使用者は債務不履行(民法415条)、不法行為責任(民法709条)、使用者責任(民法715条)などの法的責任を問われる可能性があります。

このような安全配慮義務違反によって発生する労災は、大きな賠償金の支払いだけでなく、従業員の信頼喪失や企業ブランドの損失など、多くのリスクをもたらします。そのため、安全配慮義務を厳守することは、企業経営において重要なリスクマネジメントの一つと言えます。

 

安全配慮義務違反の判断基準

安全配慮義務違反とは、労働者の安全と健康を確保するために、会社が行うべき措置を怠った場合に、その責任を問われる法律上の原則です。

この安全配慮義務違反について、判断基準となる3つのポイントがあります。

 

■予見可能性および結果回避性の有無

企業が従業員が心身の健康を害すると予測できた可能性があったかどうかと、予見できた損害を回避できたかどうかが判断のポイントになります。予測および回避できたにも拘わらず会社が予防対策を怠った場合は、安全配慮義務違反となる可能性があります。

 

■因果関係の有無

安全配慮義務を怠ったことが怪我や病気の原因であるかどうかという因果関係の有無が焦点になります。原因が企業にあるとみなされた場合は安全配慮義務違反と判断されます。ただし、従業員自身の生活習慣やプライベートの要因が複雑に絡み合っているため、原因の追究と証明は適切に行う必要があります。

 

■労働者側の過失の有無

従業員本人の過失の有無が判断の大きなポイントになります。従業員側の過失があった場合、労災と認められることはあっても安全配慮義務違反と判断される可能性は低いと考えられます。その場合、企業側の責任が軽減されて損害賠償額の減額につながることがあります。

 

安全配慮義務

安全配慮義務には、健康管理と職場環境の2つに配慮する必要があります。健康配慮義務とは、従業員の心身の健康に配慮する義務のことです。企業は、従業員の健康管理を徹底することで、生産性の向上や労働災害の防止など、様々なメリットがあります。

健康配慮義務を果たすためには、健康診断の実施、ストレスチェックの実施(メンタルヘルス対策)、産業医やカウンセラーなど専門家の配置、過労死ラインを超えた時間外労働を予防するための労働時間の管理などが必要です。特に健康診断やストレスチェックは、ただ実施するだけではなく、結果をもとに健康リスクの分析・予測を行って実態を把握し、予防・対策に努めることが大切です。

職場環境配慮義務とは、業務を行う従業員が安全に働けるように配慮する義務のことです。企業は、職場環境を整備し、従業員の安全確保を徹底することで、生産性の向上や労働災害の防止など、様々なメリットがあります。

職場環境配慮義務を果たすためには、ハラスメント対策や教育、設備の導入やメンテナンスなどが必要です。安全を確保するためには、従業員にも自分の身を守るための知識を習得してもらう必要があります。そのため、ハラスメント教育や安全衛生教育を定期的に行うことも非常に大切です。

 

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