試用期間とは、企業が従業員を正式に採用する前に、一定期間その人材を試験的に雇用する制度です。試用期間の期間は法律で定められていませんが、一般的には1〜6ヶ月程度を設定している企業が多いです。また、試用期間を設ける際には、期間の長さや労働条件について就業規則や労働契約書で明確に規定する必要があります。
試用期間が設けられる理由として、企業側にとっては、履歴書や職務経歴書、適性検査、面接などで把握できない候補者の性格や能力、特性を見極めることができる点が挙げられます。一方、働く側にとっては、実際に仕事を行うことによって、会社のホームページや求人情報からは分からない職場の雰囲気や仕事内容などを知ることができる点がメリットです。このように、試用期間は企業側と働く側のミスマッチを防ぐために設けられています。
試用期間は、正社員に限らずアルバイトやパート、契約社員など、あらゆる契約形態において設定することができます。新卒社員も同様に試用期間を設けることができます。
「研修期間」という言葉があり、試用期間と同じようなニュアンスで捉えられることがありますが、両者は全く異なるものです。
試用期間は雇用契約に関する期間であり、その人物の能力を見極め、正式に自社の社員として採用するかどうかを会社側が判断する期間です。試用期間があっても、業務内容に変更はありませんし、基本的に既存社員と同様の業務に従事します。
一方、研修期間は、職務に必要なスキルを身につけるための教育期間を指します。研修の方法は、会社や配属先によって異なり、座学から始める場合もあれば、はじめからOJT(On the Job Training:職務を遂行しながら仕事を覚えること)形式で行う場合もあります。
試用期間や研修期間の期間は、労働基準法などの法律で定められておらず、各社の規程によって異なります。
試用期間の長さは、労働基準法などの法律で規定されているわけではありません。一般的には、平均で3〜6か月以内、長くても1年以内とされていますが、超過する場合は公序良俗に反する可能性があります。
ただし、会社側が従業員の業務状況を確認するために、試用期間を延長したいと希望する場合があります。試用期間の延長については、就業規則などに事前に明記されていることや正当な理由があること、そして延長に合意があることが必要です。これらの要件を満たしていれば、違法となることはありません。ただし、要件を満たしていない場合は、違法となる恐れがあるため、社労士などの専門家に相談しましょう。
試用期間中に自由に解雇ができるわけではなく、解雇には正当な理由が必要です。
試用期間とは、従業員の能力や適性を確認するための期間であり、「解約権留保付雇用契約」という契約に基づいています。試用期間中の解雇は、留保された解約権を行使する形になります。
つまり、試用期間中でも解雇する場合は、就業規則で定められた解雇事由に基づいて手続きを行う必要があり、漠然とした理由では解雇はできません。
試用期間中でも解雇が適用となるには、「履歴書や職務経歴書に虚偽の内容があることが判明」、「勤務態度や協調性の欠如がデータとして残っている」、「企業が指導したにもかかわらず改善が見られない」のような事実がある場合と言われています。
試用期間中の解雇には、就業規則に試用期間での解雇事由を明示する必要があります。また、解雇予告期間や解雇予告手当の支払いも通常の解雇と同様に必要です。
ただし、採用後14日以内の解雇は解雇予告等が不要になりますが、14日では十分な判断ができない場合があるため、慎重に対応する必要があります。