外国人が日本で安心して働き、企業の一員として活躍するためには、関係法令を遵守し、適切な待遇を提供し、日本人との相互理解を深めるなど、魅力的な職場環境を整備することが必要です。
また、労働力人口の減少により、外国人労働者の存在はますます重要になっています。適切な支援を提供することで、正しい雇用ルールに則った労務環境を整え、人材確保につなげたいところです。
厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、令和4年10月末現在、外国人労働者数は 1,822,725 人で、令和3年 10 月末に比べ、95,504 人増加しています。
外国人労働者の数が増加するに伴い、彼らを取り巻く労働環境には大きな課題があります。外国人労働者問題の内容と原因、外国人労働者を受け入れる方法、そして企業が外国人労働者を受け入れる際に留意すべき事項についてご案内します。
引用/厚生労働省「産業別外国人労働者数の推移」
外国人労働者の在留資格はさまざまで、彼らの持つ背景は様々です。
定住者、永住者、日本人の配偶者などで、在留資格には、在留中の活動に制限がないため、さまざまな分野で報酬を受ける活動ができます。
企業の経営者や医師、教員など、高度なスキルを持った人材を指します。彼らは在留資格の根拠となる専門的な業務に従事するため、単純労働には従事できません。
技能移転の促進を目的とした国際協力プログラムである「外国人技能実習制度」は、来日時に日本語能力を有する必要はなく、一般的な試験も原則としてありません。
受け入れ可能な職種・作業は2020年現在で82職種146作業に及び、建設関連が最も多く、受入国の半数以上はベトナムからです。
法務大臣による個々の外国人に対する在留資格の指定を特定活動といいます。
特定活動としては、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、ワーキングホリデー利用者、外国人建設就労者、外国人造船就労者などがあります。在留資格の指定には、専門的知識・技能や職務経験などの条件が設けられており、個々の在留資格に応じた取得要件があります。
在留資格の活動に支障がなく、かつ所定の範囲内であれば、留学生のアルバイトなどが該当します。
労働力人口の減少により、特に単純労働分野においては人手不足が深刻化しています。外国人労働者の受け入れにより、その人手不足を一定程度解消することができます。
外国人労働者は、日本人とは異なる文化や考え方を持っている場合が多く、多様な人材を確保することができます。そのため、グローバルな視点を持った人材を取り入れることができ、企業の競争力を高めることができます。
外国人労働者は、日本とは異なる国や地域の文化や言語に精通している場合が多く、新しい市場の開拓につながることがあります。また、その国や地域とのビジネスの架け橋としても役立ちます。
外国人労働者も、日本国内で働く場合には、日本人労働者と同じように、日本の労働社会保険諸法令が適用されます。
労働基準法によって、外国人に対して差別的な扱いをすることが禁じられており、賃金、労働時間、休日等の労働条件は日本人と同じように適用されます。
これらの法令を遵守することで、外国人労働者も安心して働くことができ、日本の労働市場の健全な発展に貢献することができます。
外国人労働者を採用する前に、在留資格の取得や必要な手続きについて、法律や規制を確認することが重要です。
外国人労働者の日本語レベルを確認することは、とても重要です。
一般的に、就職やビジネス活動を行うためには、日本語能力試験でN2以上のレベルが必要とされています。しかし、外国人労働者が最初からこのレベルに到達していることはまれです。
日本語のレベルによって、日本語学校に通学することや社内での日本語学習など、日本語習得のためのサポートを行うことが望ましいでしょう。
多くの外国人労働者は、言語・文化・気候などが異なる国から来ています。
日本語だけでなく、日本の職場文化への理解も浅いため、入社後には適切なサポートが必要です。また、住まいや日常生活に関する情報を提供することも重要です。
日頃からの信頼関係によって、業務においてもモチベーションが向上しやすいと言えます。
外国人労働者を雇用する事業主は、労働施策の推進及び労働者の雇用の安定と職業生活の充実に関する法律に基づき、外国人労働者の氏名、在留資格などについて、雇入れや離職時にハローワークに届け出る義務があります。
また、家族滞在や留学等の在留資格を持つ外国人が資格外活動許可を受けて就業する場合には、資格外活動許可の確認が必要です。