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ワークシェアリングとは

ワークシェアリングとは

働き方改革が進む中で、「ワークシェアリング」が注目を集めています。

ワークシェアリングは、通常一人が担当する仕事を複数人で分担し、個々の労働時間を減らすと同時に、新たな雇用を生み出すシステムです。

現場の管理者は、各人の能力や担当業務量を推測して仕事を配分しますが、完全な均等な分担を実現することは容易ではありません。優れた能力を持ち、迅速に作業を進められる人や、複数のタスクをこなせる能力を持つ人、断りがたいと頼まれたら引き受けてしまう人には、仕事が集中してしまい、判断が遅い人やミスの多い人の仕事量は減少する傾向があります。

このような状態を放置すると、仕事が多く割り当てられた人は業務時間内に完了できず、時間外労働を強いられることになります。その結果、業務効率が低下し、ミスを引き起こす可能性が生じ、身体的および精神的な健康問題のリスクも高まります。

ワークシェアリングは、このように負担が一部の人に偏らないようにし、労働者の健康と雇用の維持、生産性の向上を実現するための考え方です。

 

ワークシェアリングが注目を集めている理由

ワークシェアリングが注目を集めた背景には、以下の2つの背景があります。

まず一つ目は、失業率の高さです。

日本においては、2002年頃から失業率の上昇と雇用情勢の悪化に伴い、ワークシェアリングが注目されるようになりました。

ワークシェアリングは、一人の仕事を複数人で分担することによって雇用を生み出し、失業率の低下につながるとされています。

海外では、アメリカなどで実績があり、失業率の大幅な改善が報告されています。

二つ目は、長時間労働による負担やストレスが労働者の健康を損なっているという点です。ワークシェアリングによって業務を複数人で分担することで、個人の負担が軽減され、時間的な余裕や心のゆとりが生まれるとされています。これにより効率的な生産性向上が期待されています。

 

ワークシェアリングの種類

ワークシェアリングは、主に4種類に分けられます。

雇用維持型

中高年や退職者の雇用を維持するために、一人あたりの労働時間を削減する方法があります。これは人手不足の企業に適した手法です。

雇用創出型

休職中の人に新たな雇用を生み出すために行われます。フルタイムの労働者を採用するのではなく、パートタイムや短時間労働者を複数採用して業務を分担することで、雇用を創出します。

緊急対応型

急激な生産量の変動に対応するためのワークシェアリングです。

既存の労働者を解雇することなく、仕事を複数の労働者で分担することで対応します。工場の稼働時間を短縮したり、シフト制の労働時間を削減したり、休日を増やすなどの対策があります。

たとえば、コロナ禍などによる予期しない社会情勢の変化や急激な景気悪化などにより、一時的に余剰人員が発生した場合などが該当します。このような場合、リストラによる解雇を行わずに、従業員一人あたりの労働時間を短縮して雇用を維持します。

多様就業型

フレックスタイム、在宅ワーク、パートタイム勤務など、多様な就業形態の人材を採用する方法です。

育児や介護などで従来の働き方が難しかった人材を活用することができます。企業はニーズに合わせた雇用が可能であり、労働者も自分に合った働き方を見つけることができるため、双方にメリットがあります。

 

ワークシェアリング導入のメリット

企業にとってのメリット

ワークシェアリングのメリットには、以下のような点が挙げられます。

・労働時間の短縮による生産性向上

業務を複数の人で分担することで、各人の負担が軽減されます。それにより、労働者はより重要な業務に集中できるため、生産性が向上します。

・無駄な会議の削減

業務の整理を行い、不要な会議などの時間を減らすことができます。これにより、効率が改善され、生産性が向上します。

・職場環境の改善

ワークシェアリングは、業務の分担や労働時間の調整を通じて、労働者の負担を軽減します。これにより、労働環境が改善され、労働者の満足度や働きやすさが向上します。

・企業のイメージが向上

グローバル化の進展に伴い、競争力を高めるためには多様な人材を雇用し、その能力を最大限に生かすことが求められています。

ワークシェアリングを導入し、多様な働き方を認めることで、「ダイバーシティに積極的に取り組んでいる企業」としての評価が向上する可能性もあります。

また、「景気の悪化にもかかわらず従業員を保護する意欲のある企業」というプラスのイメージが築かれ、企業価値の向上も期待できます。

 

労働者にとってのメリット

労働者にとってのワークシェアリングのメリットは、以下のような点が挙げられます。

・労働時間の短縮による負担軽減

ワークシェアリングにより、労働時間が短縮されます。これにより、個々の労働者の負担が軽くなり、ストレスや疲労の軽減が期待できます。

・プライベートの時間の確保

労働時間の削減により、労働者はより多くのプライベートの時間を確保することができます。これにより、家族や趣味、リラックスなど、自分自身の充実した時間を過ごすことができワークライフバランスが実現できます。

・モチベーションの向上

労働時間の短縮や負担の軽減により、労働者は仕事に対するモチベーションが高まる傾向があります。

時間的な余裕や心の余裕が生まれることで、業務への取り組みや成果に対する意欲が高まります。

 

ワークシェアリング導入のデメリット

企業にとってのデメリット

・生産性の低下

企業にとってのデメリットは、「生産性の向上」が必ずしも達成できるとは限らないことです。様々な雇用形態で働く労働者が増え、個人の負担が減ったとしても、個々の労働者の給与や保険などの保障を考えると、支出が増加する懸念が生じます。

また、多数の労働者が業務に関わることで、業務の引き継ぎ、時間のロスなどでかえって業務が煩雑になる場合があります。その結果、「生産性の低下」につながってしまうことが考えられます。

 

労働者にとってのデメリット

・収入が減る

ワークシェアリングにより労働時間が短縮されると、労働時間に応じた給与額も自然と減少します。より多く稼ぎたい人にとっては大きなデメリットとなります。

 

ワークシェアリング導入のステップ

Step1/現状の把握

ワークシェアリングの取り組みを進める前に、まずは自社の業務状況を把握することが重要です。1業務に関与している人数、かかる時間とコストはどの程度か、業務の偏りはないかなどについて現状の分析を行います。

 

Step2/ワークシェアリングが可能な業務を特定

把握した業務の中から、ワークシェアリングが可能な業務を特定します。同時に、不要な業務、効率化の余地がある業務など、ムダを見つけることも業務改善につながります。

 

Step3/運用方法について決定

ワークシェアリングの運用方法について取り決めます。

経営者と従業員が充分に話し合い運用方法について決めます。

・責任者の決定

ワークシェアリングの責任者を誰にするかを決定します。適任者を選定し、役割と責任を明確にします。

・仕事の分担方法

各業務をどのように分担するか、何人で担当するかを決めます。業務の内容や重要度、スキルや経験を考慮して、適切な分担方法を検討します。

 

◆Step4/従業員への説明実施

ワークシェアリングの制度が定着するためには、実際にワークシェアリングを行う従業員の理解が不可欠です。以下の点について、丁寧に説明し、従業員が納得するように努めましょう。

・ワークシェアリング導入の理由

ワークシェアリングを導入する目的や背景について説明します。例えば、業務効率化や従業員のワークライフバランスの改善など、具体的な理由を伝えましょう。

・導入後のメリット

ワークシェアリングの導入によって得られるメリットを説明します。例えば、業務負担の軽減、業務の専門化、柔軟な働き方の実現など、従業員にとっての利点を示しましょう。

・考えられるデメリットと対策

ワークシェアリングに伴うデメリットや懸念点についても率直に説明し、それに対する対策を提示します。例えば、給与面やコミュニケーションの課題に対して、副業の許可や情報共有の強化などの具体的な対策を提案します。

・従業員の協力を求めること

従業員には、ワークシェアリングの実施において期待される役割や協力を明確に伝えましょう。業務の適切な引継ぎやコミュニケーションの円滑化など、従業員に求められる行動や意識を具体的に説明します。

 


1つの業務を複数人で分担するワークシェアリングは、労働環境の改善と雇用の創出に寄与するだけでなく、健康経営の観点からも積極的に検討すべき仕組みです。

健康経営とは、企業が成長し、社会の発展に貢献するために、人材を資本化する取り組みです。ワークシェアリングの導入は、従業員の働き方改革や負荷軽減に役立ち、健康経営の実現にも寄与します。

 

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