「ワークアウト」とは、GEが1980年代末から導入・実施している、「境界のない企業」(boundaryless company)を実現するための組織運営の手法です。
「境界のない企業」とは、内部関係においては、組織間や地域間の壁がなく、全員が一致団結するための障害となるような管理体制がない組織であり、外部関係においては、重要な顧客基盤との壁がなく、顧客満足という共通目的に向かって労力と知恵を出し合うことのできる組織です。
一般的なワークアウトは、社内の様々な階層から数十名の従業員が集まって2~3日にわたって開催されます。日本企業のQCサークルは職場内グループであることが多く、マネジャー職も参加しないことが多いのに対し、ワークアウトは所属や役職にとらわれない点が異なります。
各部署の様々な職位の従業員が出席し、初期の目的は、複数の承認や不必要なペーパーワーク、過剰な報告書、意味のない慣例、単なる儀式など、目に余る官僚体質の弊害や圧迫感を概ね取り除くことです。最初は大勢の前で意見を出すことに抵抗があった社員からも、自分たちが出した意見が具体的行動に移されるようになると、どんどんアイデアが出てくるようになります。
仕事を難しくしている無数のプロセスを検討することに集中し、重要な問題だけを選び、より機敏に、より簡単に、より良い仕事ができる方法を発見します。
参加者は自分たちが成し遂げた改善例をGE内部、および世界の優良企業のベストプラクティスと比較することで改善目標の水準を高めていく。これにより、参加者は自己成長し、自己満足感を得ると同時に、GE全体にとっても生産性と品質の向上につながります。
ワークアウトは、GEだけでなく、世界中の企業においても、持続可能な競争優位を維持するための重要な手法として採用されています。
現場レベルの社員参加型ワークアウトは、現場の声を反映し、画期的なアイデアを生み出す可能性が高まります。現場の声が具体的な行動に結びつくことで、社員のモチベーション向上にもつながります。
ワークアウトは承認を得る手続きが簡単でスピードが速いため、既存のビジネスモデルから脱却することができます。また、社員参加型の雰囲気を醸成することで、議論が活性化し、主体的な組織文化を目指すことができます。
ワークアウトはアイデア出しから具体的な行動・実践までをプログラム化したもので、即効性が高く、短期間での経営立て直しに効果を発揮します。社員の提案に対して、責任者が即断即決を求められるためです。
ワークアウトは、研修と混同されることがありますが、ワークアウトはより実践的で、参加者が中心となって議論を進めます。一方、研修はより勉強型で、講師が中心となって進めることが一般的です。つまり、ワークアウトは能動的なアウトプット重視の手法であり、研修は受動的なインプット重視の手法と言えます。
一般的なワークアウトは、数十人の社員を集めて2〜3日間、実際の経営課題や現場の問題を取り上げ、ビジネス上の成果に直結させる議論を行います。
企業がワークアウトに力を入れることで、専門家によるプログラムを取り入れたり、社員が自ら考え行動する変革型組織を創造することができ、他社との差別化が図れます。ワークアウトの導入は、企業にとって有効な投資になります。