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メンタルヘルスケアの基本

メンタルヘルスケアとは

メンタルヘルスとは、従業員の心の健康を指します。

企業において、メンタルヘルスは従業員の健康管理の一環として、重要な課題の一つです。健康的なメンタルヘルスを維持することで、従業員のモチベーションや生産性を向上させることができます。また、従業員が心身ともに健康であることは、企業の持続的な発展にもつながります。

近年、企業におけるメンタルヘルスの重要性が高まっており、従業員のストレスやうつ病などの心の病気が、業務に支障をきたす原因になることがあります。これにより、企業の業務に悪影響が出るだけでなく、従業員の離職や休職など、人材流出にもつながることがあります。

企業がメンタルヘルスに配慮することは、従業員の働きやすい環境づくりの一つです。従業員のストレスを軽減するために、適切な業務負荷や休憩時間の確保、プライバシーの保護など、心理的な安全性を確保することが重要です。また、ストレスマネジメントやカウンセリングなど、従業員のメンタルヘルスケアについての支援を行うことも必要です。

メンタルヘルスに配慮することは、企業にとってもメリットがあります。健康的なメンタルヘルスを維持することで、従業員のモチベーションや生産性が向上し、業務効率の改善につながることがあります。また、健康的なメンタルヘルスを維持することで、従業員の離職や休職などのコスト削減にもつながります。

企業において、メンタルヘルスの重要性が高まっている現在、従業員のメンタルヘルスに配慮するための取り組みを行うことが求められています。

メンタルヘルス対策には、4つの「ケア」を効果的に推進することで3つの「予防」につなげていくことが効果的です。

 

メンタルヘルスの4つのケア

■セルフケア

セルフケア研修などを通じて、自分自身がストレスに気付き、予防や対処ができるようになるメンタルヘルスケアの基礎を学ぶことができます。また、企業では年に1度、ストレスチェックを義務付けており、その結果をもとに自分の心の状態を把握することも重要です。毎日忙しく働く中で、自分自身が抱えるストレスに気付き、直面することが後回しになることがありますので注意が必要です。

 

【セルフケアの取り組みの一環】

・健康的な生活習慣の維持

睡眠不足や不規則な生活、過剰な飲酒や喫煙など、不健康な生活習慣は、ストレスや不安などの心の病気を引き起こす原因となります。健康的な食生活、十分な睡眠、適度な運動など、健康的な生活習慣を維持することが重要です。

・ストレスマネジメント

ストレスは、心の病気を引き起こす原因の一つです。ストレスを適切に管理することが、メンタルヘルスケアには重要です。ストレスを感じた時には、運動や趣味、リラックスした音楽を聴くなど、自分に合った方法でストレスを解消するようにします。

また、ストレスを感じる状況を避けるためには、時間管理やプライオリティの設定などを行い、無理なスケジュールや負担を避けるようにしましょう。

・メンタルヘルスの教育と啓発

企業は、従業員にメンタルヘルスに関する教育と啓発を行うことが重要です。メンタルヘルスに関する情報を提供することで、従業員はメンタルヘルスについて正しい理解を持つことができ、ストレスや不安を軽減することができます。

また、メンタルヘルスに関する教育は、従業員にストレスや不安を抱えている同僚を理解することができるようにし、コミュニケーションやサポートの方法を学ぶことができます。

・自己評価の意識化

自分自身のストレスや不安、うつ病などの心の病気を客観的に見つめることが重要です。自分自身の心の状態を客観的に見つめ、自己評価を行うことで、ストレスや不安を感じたときに、適切な対処方法を見つけることができます。

 

■ラインによるケア

管理監督者が実施するラインケアは、職場のストレス要因を特定し、改善することを指します。主に職場環境の改善や従業員の相談対応などが含まれます。業務に集中していると、職場全体の環境を確認する時間や従業員とゆっくり話をする時間を確保するのが難しいこともあるかもしれませんが、ラインケアは管理監督者の重要な業務の一つです。従業員の相談に乗り、必要に応じて労働環境の改善などの対応を行うことが求められます。

・コミュニケーションの改善

コミュニケーションの不足や問題は、ストレスや不安などの心の病気を引き起こす原因になります。良好なコミュニケーションを行うことで、ストレスや不安を軽減することができます。家族や友人、上司や同僚など、身近な人とのコミュニケーションを大切にし、話し合いや相談を行うことが重要です。

 

■事業場内産業保健スタッフによるケア

事業内の産業保健スタッフには、衛生管理者や産業医の他に、心理職や心療内科・精神科の医師などの専門スタッフ、人事労務管理スタッフが関わってきます。彼らのサポートによって、セルフケアやラインケアが実施されます。また、メンタルヘルスに関連する研修の企画や運営、従業員の相談に乗る制度や体制作りも必要です。産業保健スタッフは、医療的な立場から従業員に対してアドバイスを行い、セルフケアやラインケアだけではカバーできない部分を支援します。産業保健スタッフが不在の場合は、人事労務スタッフや衛生管理者を中心に組織されたチームで、メンタルヘルス対策を行うことが望ましいでしょう。

 

■事業場外資源によるケア

地域産業保健センターや都道府県メンタルヘルス対策支援センター、医療機関など、メンタルヘルスケアに精通した外部機関やサービスを利用することも効果的です。従業員が会社に知られたくない悩みを抱えている場合、これらの外部機関を利用することで、相談しやすい環境が提供されます。また、専門的な知識や豊富な実績を持つ機関であるため、事業場が抱える問題が解決しやすくなるというメリットもあります。

 

メンタルヘルスの3つの予防

メンタルヘルス対策は、大きく「予防」「早期発見・早期対応」「治療・リカバリー支援」の3つの段階に分かれます。

■予防

・ストレス管理

ストレスは、メンタルヘルスのリスク因子の一つです。ストレスが長期化すると、うつ病や不安障害などの精神疾患を引き起こすことがあります。そのため、ストレスを適切に管理することが必要です。

企業は、ストレスの原因となる業務プロセスや職場環境を見直し、ストレスの軽減に取り組むことが大切です。また、従業員にストレス管理の方法を教育することも有効です。たとえば、運動や趣味、リラックスした音楽を聴くことなど、自分なりのストレス発散方法を見つけることができるように支援することが重要です。

・ワークライフバランスの確保

ワークライフバランスの偏りが、メンタルヘルスのリスク因子となることがあります。長時間の労働や過剰な業務負担は、従業員のストレスや疲労を引き起こし、うつ病や不安障害のリスクを高めることがあります。

企業は、従業員にフレキシブルな労働時間を提供することで、ワークライフバランスの改善を図ることができます。また、有給休暇の取得促進や、長期連続勤務を防止するなど、働き方改革に取り組むことが重要です。

・コミュニケーションの促進

孤独や孤立感は、メンタルヘルスのリスク因子となります。社会的なつながりが弱まることで、うつ病や不安障害のリスクが高まることがあります。

企業は、コミュニケーションの促進に取り組むことが大切です。従業員同士がコミュニケーションをとりやすいような職場環境を整えることが必要です。例えば、オフィスのレイアウトを見直し、コミュニケーションが取りやすい環境を整えることも一つの方法です。カフェのような共用スペースを設けることで、従業員同士が気軽にコミュニケーションをとることができるようになります。

また、社内イベントを開催することで、従業員同士が交流を深めることができます。例えば、スポーツ大会や飲み会、ボランティア活動など、多様なイベントを企画し、従業員同士がつながる機会を増やすことが大切です。

コミュニケーション研修を実施することも、従業員がコミュニケーション能力を向上させることのできる方法の一つです。コミュニケーションの基本的なスキルや、コミュニケーションの重要性などを学ぶことができるため、企業は従業員に対して研修を実施することは効果的です。

 

■早期発見・早期対応

メンタルヘルスの早期発見・早期対応は、メンタルヘルスの予防策の中でも非常に重要な段階です。

・チェックリストやアンケートの導入

企業は、定期的に従業員にアンケート調査を実施し、メンタルヘルスの状態を把握することが重要です。アンケート調査には、チェックリスト形式のものや、自由記述式のものなどがあります。

・メンタルヘルスの専門家への相談窓口の設置

企業は、従業員がメンタルヘルスの専門家に相談できる窓口を設置することが大切です。従業員がストレスや不安を感じた場合に、早期に相談できる環境を整えることで、問題が深刻化する前に対応することができます。

・メンタルヘルス教育

企業は、管理職や従業員にメンタルヘルス教育を行うことが重要です。メンタルヘルスに関する知識を持ち、部下のサポートができるようになることで、従業員のストレスや不安に対して早期に気づき、適切な対応を行うことができます。

 

■治療・リカバリー支援

メンタルヘルスの治療やリカバリー支援は、メンタルヘルスの予防策の中でも非常に重要な段階です。

・専門家の治療サポート

企業は、従業員がメンタルヘルスの専門家に適切な治療を受けられるように支援することが大切です。治療は、心理療法や薬物療法、リハビリテーションなどがあります。企業は、治療費用の補助や専門家の紹介などを行うことで、従業員の治療に支援を行うことができます。

・フレックス制度の導入

企業は、従業員が治療やリカバリーに必要な時間を確保できるよう、フレックス制度を導入することが重要です。フレックス制度とは、従業員が柔軟に勤務時間を調整できる制度のことで、従業員が治療やリカバリーに必要な時間を確保しやすくなります。

・従業員の復職支援

企業は、従業員がメンタルヘルスの問題で長期間休職した場合に、復職支援を行うことが重要です。復職支援には、従業員の体調や希望する業務内容を考慮した上で、復職に向けた準備や調整を行うことが含まれます。また、従業員が復職後に適切なサポートを受けられるよう、同僚やマネージャーにも理解を求めることが重要です。

 

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